ドイツ駐在や留学などで、語学学校でドイツ語を勉強しようと考えている方も多いのではないでしょうか。語学学校に行くとなると、授業料も高いしどこの学校が良いのか迷うところ・・。
私は2年間のドイツ駐在中(主人の仕事の関係)に、2つの語学学校に通いました。
1つはプライベートスクールの「Inlingua」、もう1つはドイツ語圏の市や州が運営している公共のスクールである「VHS(Volkshochschule)」。
今回は、通ってみてわかった2つの語学学校のメリット・デメリットをご紹介します。
ちなみに私が通っていたのは、ドイツのTrierという街の語学学校です。(街によって状況は異なると思いますので、参考までに。)
Inlinguaとは
Inlinguaは世界30ヵ国300校以上、ドイツには約70校ある語学スクールです。世界中にあるので、ドイツ語だけでなく英語やフランス語、スペイン語など様々な言語を学ぶことができます。
下の写真の赤丸で囲んでいるのがInlinguaの看板と教室です。日本の英会話スクールのように、何かのビルの中に入っています。
Inlinguaに通うメリット
・1クラスごとの人数が少ない
・コースを選ぶ前に授業を体験することができる
・1つのレベルを終了するごとにテストがある
一つずつみていきます!
1クラスごとの人数が少ない
これはメリットでもありデメリットにもなりますが、1クラスの人数が少ない為、一人一人をよく見てくれます。授業に全然ついていけなくて意味がわからない!ということも、「分かりません」というと、しっかりと教えてくれます。
私は約1年4ヶ月ほどInlinguaに通っていましたが、1クラスの人数は2人〜5人でした。
他の先生に教えてもらっていた子のクラスは10人ほどいたそうなので、クラスによってまちまちですが、教室がそんなに広くないので多くても1クラス10人までの少人数制となります。
少人数は一人当たりの発言回数も多くなるのでいいことですが、より色んな国からの生徒さんと仲良くなりたい場合は少し物足りないかもしれません。
一緒に授業を受けた生徒さんの出身地は、スペイン・イタリア・イギリス・リトアニアでした。私以外はヨーロッパ出身。
体験授業がある
私はゼロからのスタートだったので、入学の時にレベルチェックなども無くA1(初級)コースから開始しました。
ある程度ドイツ語を勉強している人は、レベルチェックのために授業を体験し、先生と相談してクラスを選択できるので安心です。
1つのレベルを修了するごとにテストがある
ドイツ語のレベル分けは、A1,A2(初級)B1,B2(中級)C1,C2(上級)となっています。
例えば、InlinguaではA1の教科書が終わるとA1レベルの総復習テスト(記述&口頭)があり、合格すると合格証をもらえます。
学んだことがきちんと身についているか確認できるので、1つのレベルを修了するごとにテストがあるのはありがたいです。このテストに受からなくても、次のレベルに進むことは可能です。
先生はこの合格証は全世界で通用すると言ってましたが、日本では認知度が低いため通用しないと思います・・
Inlinguaに通うデメリット
・授業料が高い
・クラスの人数が集まらないことがある
・授業の進むスピードがまちまち
授業料が高い
この後に紹介するVHSに比べて、授業料が高いです。私が主に通っていたのは、
グループ制、週に2回、1授業2時間のコースで12週間・・・395€(1時間あたり約8€)
あれ、1時間1000円ならそんなに高くないかも?笑
これに対して、市が運営しているVHSのドイツ語コースは、
グループ制、月曜〜金曜、1授業4時間のコースで2ヶ月・・・550€(1時間あたり約3€)
InlinguaはVHSの約2.5倍!!やっぱり高かった笑
値段だけみるとVHSが良さそうですね!
クラスの人数が集まらないことがある
やはりVHSよりも授業料が高いからか、グループレッスンを申し込んでいても人数が集まらないことがあります。(住んでいたところが田舎だったからかもしれませんが・・)
私はA1からスタートする時にグループレッスンを希望していましたが、1ヶ月経っても人数が集まらなかった為、先生と1対1のプライベートレッスンになってしまいました。
授業料はグループレッスンで申し込んだし、グループの値段かな?と思いきやきっちりプライベートレッスンの金額(1時間あたり約19€)取られたので、ものすごく高かったです・・。
ドイツ語全く分からなかったから、今思うと最初はプライベートレッスンで良かった!!
授業の進むスピードがまちまち
Inlinguaは独自の教科書を使用し、Deutsch1-1の教科書を終えるとA1レベル修了となります。Deutsch1-2だとA2レベル修了。
Inlinguaは4週間や12週間ごとに授業料を払います。
が、その時の生徒の人数によって授業が進むスピードがまちまちになるので、例えば「12週間で1レベル終わって欲しい!」と思っていても終わらないという事態が起こります。
私の場合、プライベートレッスンで受けた時は、8週間でA1の教科書が1冊終わりました。
それに対して、グループレッスンで受けたB1は9ヶ月で教科書1冊終了。
いくらレベルが上がって文法も難しくなるとはいえ、時間がかかり過ぎている・・。(個人の感想です)
授業が長引くほどお金がかかるので、料金を安く抑えたい場合はオススメできません・・。
上の写真はA1の教科書。教科書の構成はどのレベルも同じです。レッスンごとに、生活に則した場面の会話の文章があり、1つの文法と、そのシーンで使われる単語を学ぶ。その後に練習問題をいくつか解くというスタイル。
私の先生はこれにプラスして、文法をわかりやすくまとめたプリントや、追加の練習問題の宿題プリントをくれていました。(これは先生によってやり方が違うと思います)
VHS(Volkshochschule)とは
Volkshochschuleは、語学学習に特化した学校というよりは、市や州が行なっているカルチャースクールのようなものです。語学だけではなく、音楽や芸術を学ぶコースもあります。様々な習い事を市民に提供しているスクールといったところでしょうか。
コースによって開催場所が違うので、申し込みの時に住所もきちんと確認しておく必要があります。私のコースはなんだか廃校のような見た目のところで行われていて、最初中に入るのを躊躇しました笑。中に入ると普通の教室でした。
VHSに通うメリット
・授業料が安い
・1クラスあたりの人数が多い
・1タームでそのレベルの授業を終えることができる
・TELCのテスト対策に有利な授業内容
授業料が安い
これはInlinguaのデメリットのところで書きましたが、市や州が運営しているだけあってとても安いです。(2年前より授業料は値上がりしてましたが・・)授業料も他の語学学校に比べて安いので、コースの募集が始まったらすぐ申し込みをしないと、人気のコースはすぐ定員になってしまいます。
次に同じレベルのコースが開催されるのは3ヶ月後とかになるので、自分が行きたい期間に申し込みができないととても痛いです・・・。
VHSでは、教科書は自分で本屋さんなどで購入or人からもらうなどして準備していかなければなりません。2冊で35€だったので、教科書としては安いです!
1クラスあたりの人数が多い
これもメリットとデメリットの両面がありますが、私は人数が多くてとても良かったと感じました。
Inlinguaでは多くて10名ですが、VHSは少なくて10名。多いと20〜25名はいます。人数が多いので授業中の発言回数は減りますし、自分から積極的に発言していかないと1回も言葉を発さなかったという日も出てきます。
ですが、20名以上も生徒がいるので本当に様々な国からの生徒がいて、休み時間や帰り道に色んな国の人と、様々な国の文化などについて話すのはとても楽しく、ドイツ語を使ういい練習になります。
私のクラスは、ウクライナ・イラン・イラク・ナイジェリア・ブラジル・タイ・ロシア・ベネズエラなど、ヨーロッパ以外の国からきた生徒がほとんどでした。
1タームでそのレベルの授業を終えることができる
VHSでは、1つのコースにつき期間と授業時間が決まっているため、例えば2ヶ月と決められているなら2ヶ月でB1レベルを修了することができます。
Inlinguaのように、いつまでもB1レベルをやっていて、終わらないから追加で授業料を払わなきゃいけない・・といったこともありません。
(もちろん途中でやめたい場合は辞めることができますが、教科書の途中で終わるのはなんだかスッキリしない・・)
TELCのテスト対策に有益な授業内容
TELCはヨーロッパの語学検定のことで”The European Language Certificates”の略です。
多くの生徒やTELCの受験生が「ドイツで仕事に就くためにこの試験を受ける」と話していたので、公に認められている試験なんだなと感じました。
そんなTELCの試験ですが、VHSのグループ会社が運営しています。
なので自分が受けたコースの証明書が欲しい場合は、TELCの試験を受けることになります。
VHSで使っているテキストには、TELCの試験で出る形式の問題に「P:TELC」マークが書いてあります。TELCはゲーテインスティテュートの検定試験のように、日本でも名が知られているので受けておいて損はないです。
先生もテストの日程が近くなってくると、テスト対策をしてくれたりと協力的です。
(先生によりけり)
VHSに通うデメリット
・体験授業がない
・授業の日程が固定されている
・試験は別で受験しなければならない
入学前の体験授業がない
VHSは申し込みをするときの条件に、「一つ下のレベルの知識があること」とだけ記載がありました。レベルチェックテストなども無く自己判断だった為、A1レベルからずっとVHSに通っている人にとっては問題ありませんが、私のように他の語学学校や独学で勉強していた人にとっては「自分のレベルに合っているかどうかがわからない」という難点があります。
また、先生もコースが始まる直前に決まることが多いので、クラスが始まってみて「自分に合わない先生だな」と思うこともあります。
私が受けたクラスでは先生がとても厳しく、半数以上の生徒が途中で辞めました・・
その点、Inlinguaでは体験授業を受けて、自分のレベルや先生の授業の進め方などを確認できるので安心です。
授業の日程が固定されている
VHSもInlinguaも基本的に授業の日程が固定されていますが、Inlinguaは少人数制なので少し融通がききます。申し込んだコースによって違うかもしれませんが、受けた授業の回数で授業料を払うので先生が出席日数を管理し、休んだ分の授業は次回以降に繰越ししてくれました。
VHSはクラスも大所帯ですし、決められた期間内にそのレベルの授業を終わらせないといけないので授業の進むスピードも早く、1日でも授業を休むとその後の授業についていくのに必死になります。休んだ授業の分のお金も消費したことになるので、休んだ日の授業は次回に繰越しといったことはできません。
試験は別で受験しなければならない
全ての授業を終えると、授業に参加したという証明書をもらうことができます。
但し、これはB2の試験に合格した証明書にはならないので、テストは別で申し込み&支払い&受験が必要になります。
クラスの生徒は、私のようにすぐ受験する人、B2の試験は受けずにその上のC1レベルに進んでC1のテストを受ける人、B2のテストはもうしばらく自分で勉強してから受けるという人に分かれました。
TELCのテストは筆記試験と口頭試験の両方があり、試験対策の勉強もとても身になったので受けて損はないです!!このテストに合格すると、下の写真のような合格証が郵送で送られてきます。
結局どっちがおすすめ?
私が通った語学学校それぞれのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、人によってそれをメリットと感じるかデメリットと感じるかは違うと思いますが、私がドイツ語が身についたと感じたのは「VHS」でした。
新しい言語を習得するには、毎日その言語に触れる&発することが大切です!
授業料が高いInlinguaで週2回通い続けるよりも、授業料が安いVHSで平日毎日通う方が私にとっては身になりました。
また、Inlinguaの試験よりも、1日がかりで行われるVHSの試験の方がはるかに難しく試験対策も大変なので、その分勉強になります。
ドイツの語学学校まとめ
実際に、ドイツの語学学校に通ってみて感じたことをご紹介してきました。
また自由に外出ができるようになり、生活が落ち着いてきた時の語学学校選びの参考になれば幸いです。